[NXP 加速度センサー初めてガイド 2] | |||
NXP マイコン 初心者ガイドまとめ |
もくじ
- はじめに
- 1. 開発環境
- 2. MCUXpresso IDE のインストール方法
- 3. サンプルデザイン のダウンロード方法
- 4. サンプルデザイン のインストール方法
- 5. サンプルデザイン のプロジェクトを呼び出す
- 6. サンプルデザイン を実際に動かしてみる
- 7. FreeMaster Tool でデータを可視化する
- 8. まとめ
はじめに
この記事では NXP 社の加速度センサー FXLS8974 のサンプルデザインを使用して、実際に加速度センサーを動作確認する方法を解説します。
開発ツールやサンプルデザインのインストール、サンプルデザインのビルド及びデバッグ、GUIツールを使って実際のデータ取得まで行う一通りのデザインフローを体感して頂く事を目的としています。
なお NXP 社の加速度センサー概要を知りたい場合は、以下の記事を参照して下さい。
1. 開発環境
今回のサンプルデザインを動かすために必要な環境は以下となります。
- FRDM-K22F ボード
- FRDM-STBI-A8974 ボード
- Mini/Micro USB ケーブル
- MCUXpresso IDE
- FreeMaster
1~3は FRDM-K22F-A8974 という型番で全て一緒に同梱されてる便利な開発キットがあります。
上段が FXLS8974 が搭載されている FRDM-STBI-A8974 ボードで、下段が MCU が搭載されている FRDM-K22F ボードです。USB Type-A to Micro USB ケーブルも付属していますので、購入してすぐに評価することが出来ます。
FRDM-K22F-A8974 の購入はこちらから可能です。
図1. FRDM-K22F-A8974 開発キット
(右下の緑LEDは眩しいため紙で覆ってます)
4 と 5 はどちらも NXP 社から提供されている無償の開発ツールです。これらツールのダウンロード方法などは、手順を追いながら後ほど説明していきます。
2. MCUXpresso IDE のインストール方法
MCUXpresso IDE は NXP 社が提供するマイコン向けの統合開発環境です。
MCUXpresso IDE の具体的なダウンロードやインストール方法は、以下の記事を参考にして下さい。
参考:[NXP マイコン初心者ガイド 0] MCUXpresso IDE のインストール方法
3. サンプルデザイン のダウンロード方法
MCUXpresso IDE のインストールが完了したら、次はサンプルデザインのダウンロードになります。
サンプルデザインは MCUXpresso SDK 内に同梱されていますので、MCUXpresso SDK をダウンロードします。
MCUXpresso SDK のダウンロード方法は2つあります。
- MCUXpresso SDK Builder からダウンロード
- MCU Xpresso IDE を起動してダウンロード & インストール
これら2つのダウンロード方法は、以下の記事を参考にして下さい。
ここでは 1 の SDK Builder からダウンロードする方法を紹介します。
My NXP のご登録も必要になります。
参考:[NXP マイコン初心者ガイド 1] MCUXpresso IDE でサンプルプロジェクトを作成する方法
参考:NXP Semiconductors の My NXP 登録のメリットと登録方法 - マクニカ (macnica.co.jp)
まずは MCUXpresso SDK Builder にアクセスします。そして "Select development Board" をクリックします(図2)。
図2. MCUXpresso SDK Builder の画面
① "Search for Hardware" に「FRDM 8974」と入力し検索します
② プルダウンに「FRDM-K22F-A8974」が表示されるので選択します
図3. Select Development Board の画面
③ FRDM-K22F-A8974 を選択します
④ "Build MCUXpresso SDK" をクリックします
図4. Select Development Board の画面
⑤ 必要とするファイルにチェックを入れる。今回のサンプルデザインは FreeMaster なのでチェックを入れます
⑥ "DOWNLOAD SDK" をクリックして次に進みます
図5. Build SDK の画面
⑦ Building の画面が現れ、しばらくすると、、、
図6. Building の画面
⑧ Building が終了します。右下の "Download SDK" をクリックするとビルドされたSDKファイルのダウンロード画面が表示されます。
図7. MCUXpresso SDK Dashboard の画面
⑨ ダウンロード画面の "Download SDK archive including documentation" をクリックしてサンプルデザイン一式をダウンロードします。
("Online Documentation" や "MCUXpresso Config Tools" のリンクもあるので必要に応じて参照して下さい)
図8. ダウンロード画面
これで ZIP 形式のサンプルデザイン一式がダウンロードできました。
4. サンプルデザイン のインストール方法
続いてサンプルデザインのインストールになります。
MCUXpresso SDK のインストール方法は2つあります。
- MCUXpresso SDK Builder からダウンロードした Zip をドラック&ドロップでインストール
- MCU Xpresso IDE を起動して Tool 上でダウンロード & インストール
本記事では 1 の "SDK Builder からダウンロードした Zip をインストール" する方法で解説します。
この記事でも記載されているように、MCUXpresso IDE の "Installed SDKs" の画面にダウンロードした Zip ファイルをドラッグ&ドロップします。
参考:[NXP マイコン初心者ガイド 1] 2-1. SDK Builder からダウンロードした Zip をインストール
図9. Installed SDKs にドラッグ&ドロップする
以下のように "SDK_2.x_FRDM-K22F-A8974" が一覧に表示されていれば正常にインストールされています。
図10. Installed SDKs に表示される
これで MCUXpresso IDE 内にサンプルデザイン一式がインストールできました。
5. サンプルデザイン のプロジェクトを呼び出す
ではいよいよサンプルデザインをプロジェクトとして呼び出してみます。
"Import SDK example(s)..." をクリックします
図11 Import SDK Example(s) の画面
”Board and/or Device selection page" にはインポートされている SDK の種類が表示されます。
今回は FRDM-K22F-A8974 の Example を使用しますので「frdmk22f_a8974」を選択します。
"Next" をクリックします。
図12 Board and/or Device selection page の画面
”Import projects" のページが表示されます。
インポートする Example のチェックボックスを ON にします。本記事では全ての Example をインポートします。
"Finish"を押するとインポートされます。
図13 Example インポートの画面
"Project Explorer" にインポートした Example が表示されれば正常にインポートされています。
図14 選択した Example が全てインポートされた
6. サンプルデザイン を実際に動かしてみる
Example を実際に Build してみます。
今回は FreeMaster という GUI ツールを使って、実際のデータを取得して可視化してみたいと思います。
- Example は frdm22f_a8974_freemaster_demo になります。(名前に freemaster が入ってます)
- この ..freemaster_demo の "source" を展開すると main 関数を含むソースファイル "fxls8974cf_freemaster_demo.c" があります
- このファイルを右クリックして "Build Project" をクリックして Build します
図15 Example を Build した画面
Build したログが Console 画面に表示されます。特に Error も無く終了すれば OK です。
図16 Build したログ画面
では実際にデバッグして動作させてみましょう。
USB ケーブルを PC 側 (USB Type-A) とボード側 (Micro-B USB) に接続します。
図17 PCとボードを接続した
ポイント:ボード側の Micro-B USB コネクタは2つありますが "SDA USB" のシルクが記載されている側に接続します。
ポイント:上段のボード (FRDM-STBI-A8974 ボード) の SW1 と SW2 はどちらも 2-3 を接続します。(工場出荷時はこの接続になっていますので、開封してから特にいじらなければこの接続になっています)
ヒント:デバックの実行手順は doc > readme.txt にも記載されています。本 Example の Readme.txt の内容は以下のようになっています。
Hardware requirements
===================
- Mini/micro USB cable
- FRDM-K22F board
- FRDM-STBI-A8974 board
- Personal Computer
Board settings
============
Since the examples use I2C1, Pins 2-3 of SW2 on FRDM-STBI-A8974 should be connected.
SW1 Pins 2-3 should be connected to select default operating mode i.e. "ACCEL NORMAL" mode.
Prepare the Demo
===============
1. Connect a USB cable between the host PC and the OpenSDA USB port on the target board.
2. Open a serial terminal with the following settings:
- 115200 baud rate
- 8 data bits
- No parity
- One stop bit
- No flow control
3. Download the program to the target board.
4. Either press the reset button on your board or launch the debugger in your IDE to begin running the demo.
Running the demo
===============
1. Follow FreeMASTER_Sensor_Tool Getting Started steps:
https://www.nxp.com/document/guide/get-started-with-the-freemaster-sensor-tool:GS-FREEMASTER-SENSOR-TOOL
2. Run the FXLS896x FreeMASTER Demo.
PCとボードを接続すると自動的でボードを認識して、以下の様にドライブ名 "FRDM-K22FD" として表示されます。
図18 PCにドライブとして認識されたボード
ボードを認識すると緑色のLEDが点滅することを確認して下さい。
次にターミナルに接続します。"Terminal" タブの赤枠のボタンをクリックします。
"Launch Terminal" のウィンドウが開くので "Choose terminals:" を "Serial Terminal" に変更します。
"Serial port:" はボードを接続することによって追加されたポートを選択します。(今回は COM21 です)
その他の設定は以下の画面の通りに設定します。
図19 シリアルターミナルとして接続
では Debug を開始します。"Debug Your Project" の "Debug" をクリックします。
図20 Debug の開始
しばらくすると以下のような画面が現れますので、そのまま OK を押します。
図21 Probe Discovered の画面
以下の画面のように "... LinkServer Debug started on port xxxxx @127.0.0.1" と Console に表示されれば、Debug モードになりました。
図22 Debug Started の画面
この状態では緑色のLEDは点灯したままの状態になっています。
今回は詳細にデバッグを行わない為、 "Terminate" ボタンをクリックしてデバッグを停止させて下さい。(メニューから "Run" -> "Terminate" でも同様です)
図23 Terminate ボタン
そうすると緑色のLEDが点滅し始め、プログラムが動作し始めます。
Debug と同時に Flash にイメージがダウンロードされており、再起動させるとプログラムは再度動作を開始します。
7. FreeMaster Tool でデータを可視化する
今回のサンプルデザインは FreeMaster を使ってデータを可視化するデモとなっています。
このため FreeMaster Tool をインストールする必要があります。
以下の URL より FreeMaster Tool をインストールして下さい。
FreeMASTER Run-Time Debugging Tool | NXP Semiconductors
図24 FreeMaster の Web ページ
ヒント:readme.txt に記載されているとおり、手順として "Get Started with the FreeMASTER Sensor Tool" を参考に進めても OK です。
Get Started with the FreeMASTER Sensor Tool | NXP Semiconductors
FreeMaster をインストールして起動すると以下の画面が表示されます。
図24 FreeMaster 起動の画面
では FreeMaster を ボードと接続してみましょう。”Tools" ->"Connection Wizard" を開きます。
そのまま「次へ」を押します。
図25 Connection Wizard 起動の画面
続いて出てきた画面は、どのようなポートと接続するかを選択する画面です。今回は USB 経由でボードと接続しているので、最上部の "Use Direct connection to on-board USB port" が選択された状態で「次へ」をクリックします。
図26 Select Communication Port Type の画面
UART で接続するポートを選択します。⑰ で選択した COM ポートを選択して (ここでは COM21 ポート)「次へ」をクリックします。
図27 Probing UART Ports の画面
選択した COM ポートで正常に UART に接続できると以下のような画面が現れます。"Yes, use..." が選択された状態で「完了」をクリックします。これで FreeMaster とボードが接続されました。
図28 Board Detected at UART Ports の画面
今回の FRDM-STBI-A8974 ボード に対する FreeMaster の GUI 画面は事前に用意されています。
“<FreeMASTER sensor tool directory>/sensors/fxls8974cf” フォルダにある “FRDMK22F-A8974_FXLS8974CF_Demo.pmpx” を選択して「開く」をクリックします。
図29 GUI画面の選択
そうすると以下のような画面が開きます。
図30 FreeMaster の GUI 画面
画面をスクロールさせると X, Y, Z軸や OT のリアルタイムプロットが表示されます。
図31 リアルタイムプロット の画面
ボードを持って X軸・Y軸・Z軸方向に動かすと、リアルタイムプロットも変化して表示されますので、これで FXLS8974 からのデータをリアルタイムでデータ取得出来ることが確認出来ました。
図32 ボードを動かすとリアルタイムプロットも変化する
8. まとめ
今回の記事では加速度センサー FXLS8974 のサンプルデザインを実際に動かしてみて、FreeMaster ツールを用いてデータの可視化するまでの手順を紹介しました。
NXP社のセンサー関連のデバイスは、開発キット、サンプルデザイン、FreeMaster などのGUIツールを用意していますので、実際の動作をすぐに評価する環境が揃っています。
またサンプルデザインを元にソースファイルをカスタマイズすれば、迷うことなく設計者が動かしたいアルゴリズムをすぐに実装が可能です。
次回はその他のサンプルデザインの動作も確認した記事をご紹介します。
ヒント:センサーデバイスを動作させる場合は必ずマイコンを使用します。マイコンの基本的な使い方を知りたい場合は「NXP マイコン初心者ガイド」がとても参考になります。以下の URL にマイコン初心者ガイドのリンク集がありますので併せて参考にして下さい。
[NXP 加速度センサー初めてガイド 2] | |||
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