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もくじ
はじめに
このコンテンツでは MCUXpresso IDE に付属されている Debug Tool の紹介と Debug Configuration の設定項目を紹介します。
基本的に Debug Configuration の設定はデフォルトで問題ありませんが、Linker 設定を変更した時などに変更が必要になる場合があります。設定内容を把握しておくと、すでに動いている MCU に接続だけしたい場合や、最初にブレークさせる場所を main() の先頭から変えたい場合など、Debug 方法をカスタマイズできるようになります。
User Guide も併せてご参照ください。
注記:このコンテンツでは Linker Serever を使用した場合の Debug Configuration 画面を使用しており、PEmicro や SEGGER J-Link を使用している場合は仕様が異なることがございます。PEmicro や SEGGER J-Link を使用の場合は User Guide の解説をご覧ください。
1. MCUXpresso IDE でサポートされている Debugger の種類
MCUXpresso IDE には【表1】にある通り3種類の Debugger がインストールされています。使用する Probe によってどの Debugger を使用するかが決まります。
基本的に NXP の 評価ボードは MCU-Link Debug Probe と同等の機能が基板上に実装されており、1番の Native Linker Serever を使用して、USB ケーブル一本で Debug を行えるようになっています。
NXP の 評価ボードに MCU-Link Debug Probe 機能が実装されていない場合や、 2番、3番の PEmicro や SEGGER J-Link を使用する場合、対応する Probe を別途購入し、評価ボードに別途用意されている Serial Wire Debug (SWD) コネクターで NXP 評価ボードと接続する形となります。
No | Debugger の名称 | 参考 Link | 概要 |
1 |
Native LinkServer (including CMSIS-DAP) |
CMSIS-DAP ファームウェアでプログラムされた OpenSDA や LPC-Link2、MCU-Link などのデバッグプローブをサポートします。 |
|
2 | PEmicro | PEmicro 互換ファームウェアでプログラムされた OpenSDA や MultiLink およびCyclone プローブなどのデバッグプローブをサポートします。 | |
3 | SEGGER J-Link | SEGGER Microcontroller | J-Link 対応ファームウェアでプログラムされた OpenSDA や J-Link デバッグプローブなどのデバッグプローブをサポートします。 |
2. Native LinkServer の Debug Configuration の設定内容
一度、Quickstart Panel で Debug を実行すると 【図1】のように ***.launch ファイルが生成されます。このファイルが Project に紐づいた Debug Configuration ファイルになります。
デフォルトの Linker 設定であれば Debug Configuration を変更する必要はありませんが、Linker 設定をカスタマイズする場合 Debug Configuration もカスタマイズする必要が出てきます。
編集する際、***.launch ファイルを直接編集せず、【図2】のようにファイルをダブルクリックすることで開く Edit Configuration の画面(または Run タブ> Debug Configurations...)で設定を変更するようにしてください。
【図1】***.launch ファイル
【図2】Edit Configuration 画面
Edit Configuration の画面(または Run タブ> Debug Configurations...)を開くと【図2】のようにタブがいくつか用意されています。【表2】に各タブの概要を記載します。その下に画像と共に各タブの解説を記載します。(リンクを押すとその解説箇所に飛ぶことができます)
No | タブ名 | 概要 |
1 |
Main | Project パスの指定と Build 後に生成される実行ファイルを指定します。 |
2 | GDB Debugger | 使用する GDB Debugger の設定を行います。 |
3 | LinkServer Debugger | 使用する Probe (今回は LinkServer Debugger) の設定を行います。 |
4 | GUI Flash Tool | 通常 MCU は Debug 前に Flash ROM に実行ファイルを書き込んでから Debug を開始します。Flash ROM に書き込みを行う際の設定を行います。 |
5 | Other Symbols | Debug で使用する追加 Symbols 情報を追加設定を行います。 |
6 | Startup | Debug 起動時に一番最初に Break させる場所を設定します。デフォルトは main() の先頭です。 |
7 | Source | C または C++ Application の Debug 時に使用するソースファイルの場所を指定します。デフォルトは Project のファイルパスが設定されています。 |
8 | Common | Debug Configuraiton の保存場所とアクセス方法、標準入出力の処理方法、バックグラウンド起動を有効にするかなどを設定します。 |
Main タブ
① の項目にて、Project のパスと Application 実行ファイルの指定を行います。
② の項目にて、Application Build 設定を行うことができ、Debug を実行するたびに Build をし直すなど設定可能です。
【図3】Main タブ
GDB Debugger タブ
① の項目にて、使用する GDB Debugger のコマンド設定を行います。
基本的にデフォルトのままで問題ありません。
【図4】GDB Debugger
LinkServer Debugger タブ
①の項目にて、Debug の挙動を変更させることができます。
- Attach Only:もうすでに実行されている MCU に Debug を接続する設定
- Reset on Connect :接続時に Reset を実行するかの設定
- Disable use of preconnect script :接続前に実行するスクリプトの無効化設定
3番は基本的に OFF のままにします。1番、2番は状況に応じて設定を変更ください。
②の項目にて、Debug 時に実行する Script ファイルを指定することができます。基本的にはデフォルト設定で問題ありませんが、Debug Script を自分で用意して Debug の実行内容をカスタマイズすることができます。詳しくは User Guide をご覧ください。
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参考:MCUXpresso IDE User Guide > LinkServer Scripts
③の項目の Reset Handling を SOFT に変更すると RAM 実行時の Debug を行うことができます。
MCU は RAM からブートしないので、デバッガのリセット機構を変更する必要があり、 Reset Handling を SOFT に変更することで実現できます。詳しくは User Guide をご覧ください。
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参考:MCUXpresso IDE User Guide > RAM projects with LinkServer
【図5】LinkServer Debugger
GUI Flash Tool タブ
①の項目にて、Flash ROM への書き込み設定を行います。Debug においては基本的にデフォルトで問題ありません。
MCUXpresso IDE には別途 GUI Flash Tool が用意されています。そちらとほぼ同じの GUI 画面が Debug Configuration にも用意されており、Run ボタンを押すことで Flash ROM に Program や Erase などを行えるようになっています。GUI Flash Tool の詳細は User Guide をご覧ください。
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参考:MCUXpresso IDE User Guide > The GUI Flash Tool
【図6】GUI Flash Tool タブ
Other Symbols タブ
①の項目にて、Project Code のシンボル情報 (およびソース) をデバッグ環境に追加することができます。良い Debug を行うためにはシンボル情報を表示できるようにする必要がありますので、必要に応じて活用ください。
【図7】Other Symbols タブ
Startup タブ
①の項目にて、Debug 実施後、一番最初に Break する場所を指定することができます。
デフォルトでは main が入っており、main() の先頭で Break が入ります。
これを ResetISR に変更すると Application の最初の命令で Break させることができます。
【図8】Startup タブ
Source タブ
①の項目にて、Debug 時に使用するソースファイルを指定できます。デフォルトでは Project の Build パスが設定されています。
【図9】Source タブ
Common タブ
①の項目にて、Debug Configuraiton の保存場所とアクセス方法、標準入出力の処理方法、バックグラウンド起動を有効にするかなどを設定します。基本的にはデフォルトの設定で問題ありません。
【図10】Common タブ
まとめ
Debug 設定を行う Debug Configuration について解説しました。
NXP の 評価ボードを使う場合は基本的には LinkServer を使って頂ければ問題ありません。
次回は便利な Debug 機能について解説します。
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