もくじ
はじめに
今回は、MCUXpresso Integrated Development Environment (IDE)(以降、"IDE 環境")で作成した既存のプロジェクトを MCUXpresso for Visual Studio Code (以降、"VS Code 環境")に取り込んで使用する方法について紹介します。
以下、"VS Code 環境" のドキュメントですが、"VS Code 環境"には MCUXpresso IDE Project Converter と呼ばれる機能が搭載されているため、"IDE 環境"で作成したプロジェクトであっても、基本的にはプロジェクトのインポートにて対応が可能となっています。
参考資料: MCUXpresso for VS Code documentation
以降、"IDE 環境" で作成したプロジェクトを "VS Code 環境"へインポートする一連の操作について、実際に試した結果を元に紹介していきます。
1. 準備:MCUXpresso SDK のバージョン確認およびセットアップ
最初に、"VS Code 環境" にインストール済みの MCUXpresso SDK を確認してください。"IDE 環境" で使用していた物と同じターゲット MCU(もしくは、ターゲット・ボード)、同じバージョンの SDK が "VS Code 環境" にセットアップ済みになっている必要があります。
参考資料の ❝SDK Linkage troubleshooting❞ も確認ください。
参考資料: MCUXpresso IDE Project Converter
1-1. IDE プロジェクト(インポート元)の SDK を確認
インポート元の SDK は Project Explorer ビューの Associated SDK で確認してください。Installed SDK ビューにも同じ名前およびバージョンの SDK が表示されている筈です。
この情報より、インポート元の SDK はバージョン:25.09.00、ターゲット:FRDM-MCXN947 となります。
【図1】 IDE プロジェクト(インポート元)の SDK
1-2. 同じバージョン・ターゲットの "VS Code 環境" 向け SDK を入手
”VS Code 環境" の Import Repository メニューより、「REMOTE ARCHIVE」を選択して、Package (ターゲット・ボードもしくはデバイスの指定) と Version を "IDE 環境" に合わせて [Import] を実行してください。
この操作で、インポート元と同等の SDK が ”VS Code 環境” にインストールされます。
【図2】 インポート元と同等の SDK をインストール(REMOTE ARCHIVE)
従来より "IDE 環境" 向けに使われてきた MCUXpresso SDK Builder を使用した手順でも対応可能です。SDK Builder を使用する場合には、BUILD SDK を行う際の「Toolchain / IDE」のオプション選択に注意が必要です。必ず "MCUXpresso for VS Code" に対応した項目を選択してください。
メモ: SDK のバージョン 25.09.0 以前と、それ以降で、SDK Builder で「Toolchain / IDE」を選択する方法が変わっています。【図3】に両方の例を載せているので参考にしてください。
【図3】 SDK Builder を使用する場合のオプション選択
BUILD SDK を行った後は、Import Repository の「LOCAL ARCHIVE」を選択し、SDK Builder からダウンロードした SDK Archive (.zip) を選択して [Import] を実行してください。
【図4】 インポート元と同等の SDK をインストール(LOCAL ARCHIVE)
「REMOTE ARCHIVE」もしくは「LOCAL ARCHIVE」のいずれかの方法でインポート元と同等の SDK のセットアップを完了させてください。
1-3. セットアップ完了後(インポート先)の SDK を確認
"VS Code 環境" にセットアップされた SDK を確認してください。左に○印を付けた SDK のどちらか一方がセットアップされていれば、この後実施する IDE プロジェクトのインポートを正常に完了することができる筈です。×印の SDK は試しにセットアップしたものですが、これらの SDK ではインポート元の SDK との互換がとれずに IDE プロジェクトのインポートに失敗しました。
【図5】 セットアップ完了後の SDK 表示例
インポートに失敗した場合、下の図の左側のように MCU および Repository の下に関連の SDK が見つからない旨のメッセージが表示されます。右側のように MCU 以下にターゲットの情報、Repository 以下に SDK に含まれる各種ファイルのツリー情報が表示されれば正常です。
【図6】 IDE プロジェクトのインポート結果(表示例)
ポイント: IDE プロジェクトのインポートを成功させるためには、"IDE 環境" と同じターゲット、同じバージョンの SDK を "VS Code 環境" にもセットアップしておくことが重要になります。
2. プロジェクトのインポート
IDE プロジェクトと同じバージョンの SDK が準備できたら、あとは IDE プロジェクトをインポートするのみです。ここからはインポートの手順について紹介していきます。
ポイント: インポートについては IDE プロジェクトを扱う場合でも同じ手順となります。インポートを実行した際に、IDE プロジェクトの場合のみ裏で IDE Project Converter が動作するようなイメージです。
2-1. インポートの実行
最初に、QUICKSTART PANEL もしくは PROJECTS のメニューより「Import Project」をクリックします。
表示された Import Project ビュー上でインポート元の IDE プロジェクトを選択してください。選択する IDE プロジェクトは、"IDE 環境" にて Export したアーカイブ・ファイル(Archive)、"IDE 環境" に現存するプロジェクト・フォルダー(Folder)のどちらを選択しても構いません。
プロジェクト選択後、Location(インポート後のフォルダーパス)と、Toolchain を指定して [Import] をクリックするとプロジェクトのインポートが開始されます。
【図7】 プロジェクトのインポート
2-2. インポート/コンバート結果
無事にインポートが成功すると、"VS Code 環境" のウィンドウ右下に以下のポップアップが表示されます。
【図8】 インポート成功時のポップアップ
以下のようにエラーや警告が発生する場合には、「Show Log」で表示されるメッセージを元に見直しを行ってください。
【図9】 インポート失敗や警告発生時のポップアップ
2-3. インポート/コンバート完了後のプロジェクト
インポート/コンバート完了後のプロジェクトは PROJECTS 以下に表示されます。
【図10】 インポート/コンバート完了後のプロジェクト
インポート/コンバート前後のプロジェクトを比較してみると、ビルド時に生成されるファイルや、"VS Code環境" 向けに新規で作られるファイルを除いて、全てのソースファイルが取り込まれた事が確認できます。
【図11】 インポート/コンバート前後のファイル比較
プロジェクトのビルドやデバッグ実行、コンフィグツールの操作についても確認を行ってみましたが、"VS Code 環境" にコンバートされた後でも正常に動作することが確認できました。
【図12】 インポート/コンバート後の動作確認イメージ
まとめ
今回は、MCUXpresso IDE プロジェクトを VS Code へ移行する方法について紹介しました。
Eclipse ベースの MCUXpresso IDE を継続して利用することも可能ですが、 この記事で紹介したように、IDE プロジェクトを MCUXpresso for VS Code へ移行することも比較的容易にできるようになっています。一度、MCUXpresso for VS Code を比較検討してみることをお勧めます。